アプリのローカライズに伴う”悩みごと”を解決する方法
アプリのローカライズ(ローカリゼーション)とは、アプリとそのコンテンツのコンセプトを変えずに、かつ文化的に適切なやり方で他の言語に置き換えていくプロセスのことを指します。これまでコンテンツの翻訳や現地でのレビュー(校正作業)は文字列を含むファイルやコードの範囲内で実施されていましたが、それがトラブルの原因になっており、これまで行ってきた対処方法も効果があがりにくくなっていきているようです。
この記事では、ローカライズによって発生する問題だけでなく、その解決法についてもご説明いたします。
背景
よくある質問に、「現地の担当者による翻訳レビューが問題を引き起こしているのであれば、なぜ翻訳ワークフローに入れたままにしておくのか?」という疑問があります。
答えは簡単です。現地の担当者による翻訳レビューはローカライズのプロセスに大きな付加価値をもたらす非常に重要なものだからです。
翻訳レビューの担当者は、現地マーケットの専門家です。その国の文化を体現し、自社の哲学や使命、ビジョンを擁護し、誰よりも商品や顧客のことを知っているのです。
効果的な方法で実施すれば、対象とするマーケットで出てきた意見を翻訳メモリ(TM)やスタイルガイド、用語集といった翻訳ツールに取り込むことが可能です。
最終的にはレビューを最低限に減らし、合理的な作業にしていけるでしょう。
レビューの合理化に至る道のりは複雑なものである必要はありません。翻訳レビューの問題を解決する方法をご紹介します。
おすすめの問題解決方法
ステップ1:コードとコンテンツの関係を再考する
ライフサイエンス企業は多くの場合、自社アプリを他の市場向けにローカライズする際に、まずコンテンツについて考え、その後でコードについて考えることが一般的です。その結果、テキストが切り取られる、省略される、翻訳の際にミスが出る、英語が残ったままになる、右横書きする言語に誤りが生じるといった、ローカライズに関する様々な問題が起きかねません。
このため、翻訳対象とする文字列をコードから切り分けることが重要です。ローカライズのプロセスの合理化には、アプリが多言語での修正とリリースに対応できるようになっていることが必要です。このプロセスはインターナショナリゼーション(略して「i18n」)と呼ばれています。つまり、アプリは複数の言語や文化特性に対応できるようになっているべき、ということです。
このインターナショナリゼーションのプロセスは、常に翻訳と国内レビューの前に実施する必要があり、一般的には全体の開発プロセスと並行して実施されるべきです。そうすることで、アプリがローカライズされたコンテンツに対応できるようになるわけです。
ステップ2:翻訳を再評価する
ローカライズとは、単にアプリのコンテンツを他の言語に翻訳することではありません。アプリ全体のユーザー体験に違和感が生じず、円滑に利用できるようにコンテンツをカスタマイズするということなのです。そこにはテキストや画像、動画、音声、データ形式、通貨や重さの単位、写真、会社特有の用語などが含まれます。
アプリの多くは特定の法的ポリシーやCookieに関するポリシー、欧州の一般データ保護規則(GDPR)のポリシーを順守する必要があります。
ライフサイエンスのアプリには、他にも考慮すべき要素があります。インフォームドコンセントのフォームやアプリそのものや関連するデバイスの使用手順、臨床アウトカム評価(COA)やアンケート、尺度など、様々なものがあるでしょう。このようなコンテンツはすべて異なっており、それぞれに専門性が必要になります。一方で、ブランディングやコンセプトが当初のアプリと変わらないように、整合性をとる必要があります。
そのために、次のような点を考慮することになります:
1. 各国特有の好みや用語集、スタイルガイドをチームに周知させます。それが済んだら翻訳プロバイダーと協力して、すべての要素が翻訳を始める前の段階で翻訳管理システム(TMS)やTMデータベースに入っているように徹底します。
2. 共有、翻訳、レビュー、アプリへの再インポートがしやすいコンテンツを制作するためのツールを利用することで、最適な環境を作ります。最も重要なことは、翻訳者と翻訳レビュー担当者にコンテンツやワークフローについての最適な環境を提供することです。
3. 一貫性がカギになります。翻訳パートナーが、動画、音声、グラフィック、法的ポリシー、デザインワーク、プレーンテキストなど、あらゆる異なる種類のコンテンツに対応できるように徹底してください。
ステップ3:ツールを再評価する
グローバル市場向けにアプリをローカライズする際には、簡単に利用できるインコテクストレビュー(性格でありながら読みやすい文章に編集する作業)の機能が統合された技術を必ず使うことが重要になります。そうすることで、アプリからコンテンツを引き出し、翻訳とレビューを実施し、翻訳したコンテンツをアプリに戻すまでの一連の作業を、効率的かつ合理的なやり方で進めることができるはずです。
皆さんの会社とそのビジネスのニーズに適したテクノロジーを活用することで、負荷の低減とレビュー回数の削減につながり、国内チームの助けになることでしょう。
具体的な例として、インコンテクストレビュー機能のあるツールの活用が挙げられます。ユーザーは世界中のどこにいても、どのブラウザからでも、アプリのスクリーンショットを編集画面で直接レビューすることができます。
ステップ4:成功と課題を再検討し測定する
プロジェクトで得た学びについて確認し、以下の問いかけをしてみましょう。
• 最終コンテンツを翻訳会社と共有するまでにどの程度の時間を要したか?
• 翻訳プロセスにはどの程度の時間を要したか?
• 翻訳レビュー担当者はレビューにどの程度の時間を要したか?
• 翻訳レビュー担当者はセグメントの編集にどの程度の時間を要したか?
• どれだけ迅速に編集を終えて開発者に送れたか?
これらのデータは、すべて簡単に取得して確認できる状態にしておき、改善につなげられるようにしてください。また、アプリのパフォーマンスをどのように測定するのかについても、必ず検討してください。参入した市場でソーシャルリスニングキャンペーンを展開したり、競合他社のツールの市場調査を実施したりしてデータを取得し、自社商品の改善につなげられるような手法を考えます。うしたプランを実行していくことで、アプリのローカライズに伴う課題を解決していけるでしょう。
弊社では多岐の業種にわたってアプリのローカライズ実績がございます。
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