【AI X エンターテイメント業界】最新テクノロジーを使用して動画の字幕・吹き替えをクリエイティビティ―を失わずに効率化する?
目次
- はじめに
- 動画多言語化の課題(コスト・時間・クオリティー)
- 大量にあるタスクをリスト化(動画のDL・アップロード、書き起こし・スクリプトの調整)
- 最新AIテクノロジーで案件管理(メール、Excel、SharePointからの脱却を図る)
- 最新AIテクノロジーでスクリプトの書き起こしと字幕翻訳(手作業や複数ツールの同時立ち上げからの脱却)
- エンターテイメント向けの機械翻訳-機械翻訳エンジン開発
- エンターテイメント向けの機械翻訳-生成AIでキャラクターに一貫性を出す
- まとめ
※こちらの記事は、弊社にて10月6日に行われたウェビナーを元に作成しています。
はじめに
動画配信サービス(SVOD)や動画マーケティングの盛り上がりにより、動画の字幕・吹き替えの多言語化の需要が高まっています。特にエンターテイメントの分野では、日本語のオリジナルコンテンツの海外展開も活発になってきています。
一方で大量の動画コンテンツの多言語化管理が必要になってきますが、字幕や吹き替えの翻訳プロセスは旧来のまま(手動作業、メールやExcelでのやりとり)ということがほとんどです。そのため高い需要に対して、現場での効率化がなかなか進まないのが実情です。
こちらのブログは、テクノロジー(AIや動画翻訳専用のシステム)を用いてどのようにワークフローを管理し、各作業を簡素化・自動化することができるのかという内容で話した弊社ウェビナーをもとに作成しています。
またテクノロジーを用いて効率化することにより、字幕翻訳者および承認者(レビューアー)はよりクリエイティブに集中できる環境を得ることができますが、それ以外にもクリエイティブを必要とする翻訳にAI翻訳・機械翻訳がどうアプローチをするのかという話をしたいと思います。
動画多言語化の課題(コスト・時間・クオリティー)
まず、動画多言語化にはコスト・時間がかかるということは周知の事実かと思います。
具体的なタスクについては次の章でお話しますが、問題はプロセスを旧来のままにしている企業様が多いということではないでしょうか?
映画配給会社様、TV局様など、長年慣れたプロセスを変えるのが難しい会社も多い気がします。また、クリエイティブな業界でAIがうまく機能しないのではないか?といった懸念もあるかと存じます。これらの不安要素にどうAI製品がアプローチできるのか、といった点をお話していきます。
大量にあるタスクをリスト化(動画のDL・アップロード、書き起こし・スクリプトの調整)
こちらの図は、大量にある動画の字幕・吹き替えのタスクをリスト化しています。
もうそろそろ2024年。大量のタスクも自動化できるはずです。
最新AIテクノロジーで案件管理(メール、Excel、SharePointからの脱却を図る)
字幕のための翻訳をメールで依頼、納期が遅れていたらメールで催促、翻訳物はSharePointで共有している…なんてことはないですか?
・翻訳依頼・見積もり
・進捗管理
・タスクの割り振り
・動画ファイルの受け渡し
は、すべて1つのテクノロジーで完結させることができます。
詳しくは▶動画をチェック
最新AIテクノロジーでスクリプトの書き起こしと字幕翻訳(手作業や複数ツールの同時立ち上げからの脱却)
動画のスクリプトを手で書き起こされている会社さんはもういなくなっている気がしますが、エクセルに頼って仕事をされている方はまだまだ多い気がします。動画、タイムスタンプ記載したエクセル、スクリプトが書いてあるワードファイルを同時に立ち上げて作業されている方がいましたら…すべて効率化してしまいましょう。
・動画から自動音声認識でスクリプトを作成
・文字数カウントと調整
・レビュー
・クオリティーチェック
最新のテクノロジー1つで解決できます。
筆者の独り言になってしまいますが、私自身もともとエンタメ業界(ストーリー進行型のモバイルアプリ)で働いていて、ストーリースクリプトの制作には本当に苦労しました。マクロエクセルで作成したスクリプトを、アプリで動くデータに変換、テスト環境にアップロード、携帯のテスト端末でデバッグ、文字切れと誤字を発見したので、エクセルに戻って修正、もう一度同じ作業を繰り返す…。
特に英語版の配信時は、英語の方が文字数を要するため(例:「元気?」→「How are you?」)文字切れが多く発生していました。私が働いていた時に、こんな類似のテクノロジーができていたら、残業時間が減っていたのかな、なんて考えたりします。
詳しくは▶動画をチェック
エンターテイメント向けの機械翻訳―機械翻訳エンジン開発
エンターテインメント業界で機械翻訳の使用が進みにくい理由はやはり、他のコンテンツよりクリエイティブな翻訳にAIが対応できていない、ということではないでしょうか?弊社の製品ももちろん対応できているとは言い切れませんし、人間の手によるポストエディットはマストです。ただ弊社はエンターテインメント向けに特化した開発手法を、機械翻訳エンジン開発に適用しています。
詳しくは▶動画をチェック
エンターテイメント向けの機械翻訳―生成AIでキャラクターに一貫性を出す
次に、ストーリーで大事なキャラクターの一貫性についてお話したいと思います。
例えば名探偵コナンの「バーロー」というセリフを例にとりましょう。切羽つまったシーンで元太や歩美に「バーロー!単独行動するなって言っただろ!」と使ったり、新一を恋しむ蘭に電話した時に「バーロー。俺を信じろよ」と甘いセリフの中ででてきたりと、ストーリーの中のセリフでとても大事なセリフです。
それを「You, silly」と翻訳するとして、もしシーンの度に「Stupid!」「Are you dumb, huh?」など変わってしまっていたら、大事なセリフが台無しになってしまいます。登場人物のキャラクターに影響がでて、作品の魅力が1つ減ってしまうことになります。これは用語集の作成および用語集を利用した機械翻訳カスタマイズによって対処することができます。
キャラの良く言うセリフやなまり、統一をしたいところはあらかじめ用語集登録しておき機械翻訳をカスタマイズすることで、機械翻訳をかけた時にさっと決まった用語に翻訳してくれます。
ここまでは機械翻訳の一般的な機能です。
セミナー動画の中で話されているのは生成AIが、キャラクターの性格、生い立ち、出身地、などに合わせて、言いそうな言葉を察知して翻訳をするところまで来ているという翻訳X生成AIの未来の話をしています。
例えば、最近、続編ができたbig bang theory(ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則)のSheldon(シェルドン)を例にとりましょう。筆者は最近、続編のYoung Sheldon(ヤング・シェルドン)を英語でSeason 4まで見ましたが、シェルドンの使う英単語が分からない時があり、調べる必要がありました。
彼は天才少年という役柄で、子供らしくない小難しい言葉をしゃべり、周囲の大人を圧倒、イラつきを与えるキャラクターです。
ストーリーの中で、自分の意見がやっと通った時、彼は「Vindication!(正当性の証明だ!)」と叫びます。そんな言葉をいう子供はシェルドン以外にいませんし、キャラクターの魅力を出すのに言葉の選択は大変な役割を持っています。
彼の翻訳をするときは翻訳家はあえて鼻に着くぐらいに難しい言葉のチョイスを翻訳言語の中からする必要があり、用語集にも良く使う難しい言葉を登録する必要があります。
動画の中でお話しているのは生成AIを利用することで、シェルドンのキャラクターを生成AIが学び、機械翻訳をかけた時に、シェルドンの知的レベルに合わせた言葉のチョイスで翻訳を作成をしてくれるということです。
個人的にもとても面白い話だと思いますので、ぜひ弊社のプロフェッショナルからの生の声をお聞きください。
詳しくは▶動画をチェック
まとめ
その他、ウェビナー動画では、吹き替えのプロセス、動画のフィードバック管理、MAM連携に関して触れています。データとして重い動画ファイルをダウンロードしたり、編集後に再アップロードする手間を省くなど、引き続き、動画ローカライゼーションの効率化についてお話しています。52分と長い動画にはなりますが、お時間がない方はタイムスタンプをご覧になってご視聴くださいませ。
詳しくは▶動画をチェック