2024年の航空業界における4つのトレンドと変革
航空業界には、変化にいち早く対応し、イノベーションの可能性を限界まで追求してきた歴史があります。2024年も、航空業界は、旅行客のうちテクノロジーに詳しく環境意識が高い層の需要に応えることを目指して、さらに進化しようとしています。今回は、そんな2024年の航空業界を象徴する4つのトレンドと変革をご紹介しましょう。
1. 持続可能な航空事業に向けた取り組み
サステナビリティ(持続可能性)は2024年にも航空業界にとって大きな焦点となるでしょう。飛行機を飛ばすというのは大事業です。カーボンフットプリントを減らすため、多くの航空会社が燃料効率にすぐれた航空機に資金や時間を投資するようになっています。採用に向けた動きが始まった電動/ハイブリッド航空機は、低騒音でクリーンなフライトを実現し、空の旅のあり方を大きく変えるはずです。また、電動航空機は、確実に燃料コストを大きく減少させ(ただし減少幅の詳細については議論があります)、しかも地球環境に有害な燃料廃棄物の排出削減に向けた取り組みにもなります。電動航空機の開発を手がけるスタートアップ企業Ampaireによれば、電動航空機では、化石燃料を用いる従来の航空機と比較して、燃料コストを90%、メンテナンスを50%、離着陸時の騒音を66%削減し、有害な排気ガスを完全にゼロにすることができるとされています。
2. 高度化する機内エンターテイメントシステム
機内エンターテイメントシステムの市場規模は、2022年にはグローバルで59億6,000万ドルだったものが、2030年には122億9,000万ドルに達すると予測されており、機内エンターテイメントそれ自体も大きく飛躍しようとしています。航空会社各社は、エンターテイメントシステムにARやVRを導入し、乗客が機内で双方向的なコンテンツやゲームの世界に没入できる環境を実現しています。長距離フライトでは特に人気の高いサービスです。機内インターネット接続環境も大きく進歩しており、高速Wi-Fiだけでなく、機内でVRを使った打ち合わせや会議ができる性能を備えたサービスまで提供する航空会社も増加しています。
3. 旅行をシームレス化する生体認証テクノロジー
生体認証テクノロジーの中でも注目したいのが、空港での本人確認に利用される顔認証です。2023年には、乗客にスムーズかつ安全な旅行体験を提供するため、生体認証が導入されるケースが増えました。顔認証と指紋認証を利用すれば、チェックインや保安検査、搭乗手続きなどさまざまなプロセスを簡略化することができます。むしろ面倒に感じる人もいるかもしれませんが、テクノロジーによる先進的なアプローチでは各種検査の手作業が不要なため、待ち時間が大幅に節約でき、効率が明らかに向上することは間違いないでしょう。
4. サービスのパーソナライズ、データドリブン化
データやAIを利用して、パーソナライズされたサービスを提供する動きも広がっています。座席の希望や機内食の選択など、個々の乗客向けにカスタマイズされたサービスをおすすめするのは、今や普通のことです。メンテナンスにAI予測を導入すれば、つねに最高の機体コンディションを保ち、フライトの遅れを減らすことにつながります。空港でも、リアルタイムの情報によって、フライトの遅延をあらかじめ予測したり、地上業務を効率化したり、乗客にパーソナライズしたサービスを提供したりすることができます。これが「データ主義(データドリブン)」の力です。方向性を間違えなければ、企業はデータドリブン化によって次のようなメリットを得られます。
- 魅力的なカスタマーエクスペリエンスを構築できる
- 新たな収入源への道が開ける
- 競合との差別化につながる
2024年の航空業界の特徴をまとめるなら、サステナビリティへの取り組みの強化、乗客の安全性の向上、旅行体験の質を高める取り組みといった要素が見えてきます。テクノロジーやエンターテイメント、データドリブン化したサービスといったさまざまなイノベーションによって、空の旅のあり方が大きく変わろうとしています。航空業界はいま、未来に向けて単に離陸しつつあるというよりも、良好な視界のもと急上昇を遂げつつある、というところかもしれません。
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